「諸費用って、なんとなく聞いたことはあるけど…」
家づくりを考え始めたとき、多くの人がそう感じます。
“建物本体”以外にもお金がかかることは知っていても、「実際どんな費用?」「いつ、いくら必要?」という具体的なイメージはつきにくいものです。
しかも諸費用の中には、見積もりに含まれていないものや、現金で支払う必要があるものも。
「想定してなかった費用で予算が足りなくなった…」
そんな声も、住宅営業をしているとよく耳にします。
誰もが一度は悩むのが、“何に、どれだけ備えておくか”という点。
この記事では、注文住宅にかかる「諸費用」について、内訳と金額の目安、よくある落とし穴まで整理してわかりやすく解説します。
大切なお金の話だからこそ、あいまいにせずクリアに。
家づくりを安心して進めるために、今ここで整理しておきましょう。
諸費用ってなに?建物費用とはどう違うの?
家づくりの費用といえば「建物本体の価格」が注目されがちですが、実はそれだけでは収まらないのが現実です。
住宅ローンの手数料や火災保険、登記費用など──
“見積書に載っていないお金”も必要になります。
それが「諸費用」と呼ばれる、建物以外にかかる費用です。
諸費用の説明をしていると、「そんなにかかるんですか…?」こうした反応をいただくことは少なくないです。
📌 諸費用の特徴
- 見積書に明記されないこともある
- 支払うタイミングがバラバラ
- 自己資金で準備が必要なケースも
この章では、「諸費用とは何か?」を明確にし、本体価格や付帯工事との違い、発生時期の違いまで整理して解説します。
家づくりの費用全体を把握するには、「どんな流れで何にお金がかかるか?」をつかむことが大切です。
初めての方は、以下の記事で全体のステップを先に確認するのがおすすめです👇
👉 注文住宅は何から始める?初心者が全体の流れをつかむための家づくり入門ガイド
注文住宅の「見積もり」には入ってない費用もある
注文住宅を建てるとき、ハウスメーカーや工務店から提示される見積書には、主に「建物本体価格」と「付帯工事費」が記載されています。
しかし、それだけが家づくりにかかるすべての費用ではありません。
たとえば以下のような費用は、見積書に含まれていないことが多く、後になって追加で必要になるケースもあります。

「建物価格に全部入ってると思ってた…」と諸費用を見落としていて、後から数十万円の出費に焦るケースは実際によくあります。
こうした費用は諸費用として別途かかるため、建物の金額だけで判断していると、思わぬ予算オーバーにつながる可能性があります。
「本体価格」や「付帯工事」との違いを理解しよう
「諸費用って、建物本体とは別に必要になる費用なんですね」
そう理解できても、何と何が違うのかがはっきりしないと、予算の組み立てに迷ってしまいます。
注文住宅の費用は、大きく3つに分けて整理できます。
注文住宅の主な費用構成
区分 | 内容 | 主な費用例 |
🏠 本体価格 | 建物そのものの工事費用 | 基礎工事、構造、内外装、住宅設備など |
🛠 付帯工事費 | 敷地や外まわりに関わる工事 | 外構工事、造成、上下水道引き込み、地盤改良など |
💰 諸費用 | 工事以外に必要な費用 | 登記、火災保険、住宅ローン手数料など |
つまり、諸費用は「建物そのもの」にかかるお金ではなく、“それ以外に必要な費用をまとめた”ものという位置づけです。
これら3つの費用は、それぞれ支払い先もタイミングも異なるため、一括でまとめて考えずに、個別に理解しておくことが大切です。
諸費用の発生タイミングは契約〜引渡し時まで様々
諸費用の厄介な点は、支払いのタイミングが一定ではなく、段階的に発生することです。
建物本体の支払いスケジュールとは別に、各諸費用が異なる時期に発生します。
📌 代表的な諸費用の発生タイミング
時期 | 代表的な諸費用 |
契約時 | 登記費用(※土地購入時)、印紙代など |
契約後〜引渡しまで | 表示登記費用、登記費用(抵当権設定、保存登記)※建物分、ローン事務手数料、火災保険・地震保険(※決済時)、地鎮祭など |
注文住宅にかかる諸費用の内訳と目安金額
「諸費用って、具体的にどれくらいかかるの?」
そう疑問に思っても、見積書にまとまって載っていないことも多く、全体像がつかみにくいのが実際のところです。
ここでは、注文住宅でかかる代表的な諸費用を一つひとつ取り上げ、『費目ごとの内容と金額の目安』をわかりやすく解説します。

「なんとなく把握してたけど、合計するとこんなにかかるんだ…」
そんな気づきが、これからの資金計画を見直すきっかけになることもあります。
まずは一覧で全体像をつかもう
費目 | 内容 | 金額の目安 |
表示登記費用 | 建物の所在地・構造・床面積などを登記(建物完成後に必要) | 約8〜12万円 |
保存・移転・抵当権登記費用 | 所有権保存・移転、抵当権設定などの手続き | 約10〜60万円 |
火災保険・地震保険 | 建物の引渡し時までに一括で加入するケースが多い | 約10〜30万円 |
住宅ローン関係費 | 保証料・事務手数料・印紙代など | 約20〜60万円 |
地鎮祭・上棟式など | 任意で行う行事費 | 約3〜10万円 |
このあと、上記の項目ごとに「何の費用か」「いつ必要か」「どこに注意すべきか」を詳しく解説していきます。
表示登記費用|約8〜12万円
家を建てたあとは「この土地に、こういう建物が完成しましたよ」と法務局に申請する必要があります。
これが表示登記と呼ばれる手続きです。
💰 費用の目安:8〜12万円前後
- 建物の規模や構造、依頼先によって異なるが、おおむねこの範囲内
- ほとんどのケースで住宅ローンに含めることが可能です

「登記費用=自己資金って思い込んでいませんか?」
実はこの費用、住宅ローンに含められるケースがほとんどなんです。
思い込みで焦らず、契約前にしっかり確認しておくのが賢い選択ですよ!
登記費用(保存・移転・抵当権)|10〜60万円
家を建てるときは、「この建物・土地は誰のものか」を法務局に登録する手続きが必要です。これが登記費用で、建物や土地の状態・所有関係を公的に証明するものです。
📌 登記費用には主に以下の3つがあります
登記の種類 | 内容 | 費用の目安 | 補足・注意点 |
保存登記 | 新築した建物の所有者を初めて登記簿に登録する手続き | 約5〜10万円 | 住宅ローンを使う場合、融資実行の条件になる |
移転登記 | 土地の所有権を売主から買主へ移す(※土地購入時のみ) | 約20〜40万円 | 固定資産評価額により変動。建物建築のみの場合は不要 |
抵当権設定登記 | 住宅ローンの担保として金融機関が設定する登記 | 約5〜10万円 | 借入額によって変動。住宅ローンを使う場合は必須 |

建物だけの登記と違い、土地購入を伴う場合は費用が跳ね上がるので要注意!
火災保険・地震保険|10〜30万円
住宅ローンを利用する場合、火災保険への加入はほぼ必須条件になります。一方で、地震保険は任意加入。補償範囲が限定的なため、加入するかどうかは慎重に検討が必要です。
📌 保険の基本ポイント
- 火災保険は【最長5年】まで一括契約が可能(※10年契約は廃止)
- 加入時期は【建物引渡し時】が一般的
- 地震保険は任意。必要性を見極めてから判断を
💰 費用の目安
種類 | 保険期間 | おおよその費用目安 |
火災保険(5年) | 5年 | 約10〜25万円 |
地震保険(任意) | 5年 | 約5〜15万円 |

補償内容や保険料は、ネット上の保険見積もりサイトで簡単にシミュレーションできるので、無理なく必要な範囲を把握しておくと安心です。
住宅ローン関係費(保証料・事務手数料)|20〜60万円
「住宅ローンって、金利以外にもお金がかかるんですか?」
実は、保証料や事務手数料などの“初期費用”が発生します。
これらを見落としてしまうと、あとから思わぬ出費に戸惑うことも…。
ここでは、『住宅ローン契約時にかかる代表的な費用項目を、順にわかりやすく解説』していきます。
🔸 保証料
住宅ローンを借りる際、保証会社に支払う費用です。
金融機関によっては「融資手数料型」として保証料が不要な代わりに、別の費用構成になっている場合もあります。
- 借入額や返済期間によって金額は変動(例:3000万円×35年 → 約60万円前後になることも)
- 金利に上乗せする「外枠方式」もあり(トータル費用での比較が重要)
🔸 事務手数料
ローン契約・融資実行時に金融機関へ支払う手数料です。
- 「定額制(約3〜5万円)」が一般的
- 金融機関によって形式が異なるため、事前確認が必要
🔸 印紙税
住宅ローンの契約書には、印紙を貼る必要があります。
この費用は借入金額によって変わり、たとえば、
- 1,000万円超~5,000万円以下 → 2万円(※軽減措置後の金額)
- 5,000万円超~1億円以下 → 6万円(※軽減措置後の金額)
が目安です(※軽減措置あり・令和9年3月31日まで適用)。

住宅ローンは“金利の安さ”だけで判断するのではなく、保証料や手数料を含めた“トータルコスト”で比較することが大切です。
地鎮祭・上棟式などの行事費|3〜10万円
「地鎮祭ってやらなきゃダメ?」
最近よくあるこの質問。実はやらない人も増えてますが、家族の“思い出づくり”や“いよいよ家を建てるんだ”という実感を持つ大切な機会として、選ばれることも多いんです。
地鎮祭・上棟式は、工事の安全や家族の繁栄を願う家づくりの節目となる伝統的な行事です。
📌 地鎮祭とは
着工前に、その土地の神様に工事の安全を祈願する儀式。
📌 上棟式とは
建物の骨組みが完成したときに、無事の完成を願って行う行事。

最近はやらない人も増えてますが、“思い出づくり”として選ぶ方も多いです。
建築会社が段取りしてくれることも多いので、気になる場合は事前に相談してみましょう。
実際にあった!予想外の出費で困ったリアルな事例
「えっ、そんなお金も必要だったの…!?」
家づくりの現場では、想定外の出費に慌てたという声があとを絶ちません。
とくに“諸費用”は見えにくく、契約前にすべて把握するのはなかなか難しいのが現実です。
ここでは、実際にあった「うっかり」「見落とし」「思い込み」によるリアルな事例を3つ紹介します。
これから家づくりを始める方にとって、トラブル予防のヒントになるはずです。
「外構費が入ってないなんて聞いてない!」
🧩 よくある誤解
「提示された金額が“家のすべての費用”だと思ってた…」
でも実際は、外構工事(駐車場・フェンス・庭など)は別扱いが基本!
🛠 こんな工事が対象になるよ
- 駐車スペースやアプローチの整備
- 門柱・ポスト・フェンスの設置
- 庭の整備や植栽、砂利敷きなど

外構費は“別で考えるもの”って知らずに、あとで見積もりが出てビックリする人、多いです。
契約前に“本体以外に何が含まれていないか”を必ず確認して、早めに概算を取るようにしよう!
「登記費用が想定より高かった」
「登記って何のこと?」「そんな費用あるの知らなかった…」
建物を建てると、法的な手続き=登記が必要になります。内容によっては数十万円かかるため、しっかり確認しておきましょう。

「どの登記が必要か?」は、土地の有無やローンの有無によって変わります。
契約前に登記費用が見積もりに含まれているか、必ずチェックしておきましょう!
「見積書を一式表示で出されて、内訳確認せず後悔…」
「最初にもらった見積書が“○○一式”ってなってて、なんとなくそのまま進めてしまいました…」
あとになって「外構費は別です」「○○はオプションです」なんて言われて、想定よりも出費が大幅に増えることに。
でも、これ…実はよくあるトラブルなんです。
📌 よくあるケース
- 見積書が“本体工事一式”としか書かれておらず、詳細が不明
- 外構、カーテン、登記費用などが含まれていない
- 契約後に「オプション追加で+〇〇万円」が連発

“一式見積もり”はラクに見えて、めちゃくちゃ危険です!
一見シンプルで親切そうに見えるけど、細かい内訳を確認しないと“何が含まれていて、何が別なのか”がわかりません。
諸費用の準備と「見える化」で後悔を防ぐ!
「そんな費用、今すぐ払うの!?」
「“諸費用込み”って言ってたのに、内訳はどこまで含まれてたの…?」
家づくりの終盤に、「予定外の出費で資金が足りない!」というトラブルは少なくありません。
とくに“いつ、どの費用が必要になるのか”を把握していないと、想定外のタイミングでお金が必要になり、あわてる原因にもなります。
さらに、見積書に「諸費用一式」とまとめられていると、中身の確認が不十分なまま進んでしまい、あとで慌てるケースも多くあります。
ここでは、そんな“見えにくい諸費用”をどう管理すればよいか、整理のコツと備え方を具体的に解説します。
「現金で払うもの」と「ローンに組めるもの」を分けて管理
諸費用の中には、住宅ローンに含められるものと、あらかじめ現金で用意しておく必要があるものがあります。
これをあらかじめ分けて把握しておくことで、「いつ・いくら準備が必要か?」が明確になります。
📌 現金での支払いが必要になる主な費用例
- 地鎮祭・上棟式などの行事費(※希望する場合のみ実施)
- 印紙代(契約時に必要)
- 手付金(基本的にローンで借り入れ可能だが、契約時は一時的に持ち出しが必要)
📌 一般的にローンに組み込める費用(※要確認)
- 表示登記費用(表題登記)
- 登記費用(保存・移転・抵当権)
- 火災保険料
- 融資手数料・保証料(住宅ローンの契約に関する費用)
- 水道加入金や地盤調査費など、建築に付随する諸費用
「諸費用一式」じゃなく項目ごとに確認するクセを
「諸費用も込みの金額です」――
この一言に、つい安心してしまいがちですが、実際にはどこまでが“込み”なのかを明確にしておかないと、あとから「それは別途です」と言われ、トラブルになるケースも少なくありません。
💡 トラブルを防ぐためのチェックポイント
✅ 「諸費用込み」の内訳を、見積書で“項目ごと”に確認すること
- 「登記費用」は含まれているか?
- 「火災保険」や「ローン手数料」は記載されているか?
- 「外構費用(駐車場・フェンス・庭など)」の記載はあるか?
✅ 見積もりが“一式表示”になっている場合は、内訳を出してもらう
- 「諸費用一式:80万円」などの表示は要注意
→ 必ず「この内訳を教えてください」と確認しましょう。
✅ 聞いた内容は、営業担当の説明であっても“メモ”や“メール”で記録を残す
- 口頭の説明だけでは、万が一のときに証拠になりにくい
→ メモやメールで記録を残すのはもちろん、できる限り見積書や契約書に反映してもらうようにしましょう。

“込み”と聞いて安心するのではなく、『“何が含まれているのか”』を理解してこそ、本当の安心につながります!
ちょっとした確認と一言が、後悔を防ぐ大きな鍵になりますよ!
自己資金はいくら必要?諸費用だけで100万超もザラ!
「家を買いたいけど、自己資金がほとんどないから無理かな…」
そんなふうに諦めかけていませんか?
たしかに、昔は「頭金を2割用意してから」が常識でした。
でも今は、自己資金が少なくても住宅を購入できる仕組みが整ってきています。
住宅ローンに諸費用を組み込めるケースもあり、選択肢は広がっています。
とはいえ──
“自己資金ゼロで安心”というのは、ちょっと危ない考え方でもあります。
たとえば、こんな費用がかかります👇
➡ これらを合計すると、諸費用だけで100万円を超えることも珍しくありません。

「自己資金ゼロでも買える」っていうのは事実。
でも、「ゼロで本当に大丈夫か?」は、ちゃんと立ち止まって考えてほしい。
さらに注意したい“見落としがちな費用”
見積書の諸費用に載っていなくても、実際の家づくりでは以下のような費用も発生します。
📌 引っ越し費用・仮住まい費用
建て替えの場合や、完成までの間に仮住まいが必要な場合は、家賃や引っ越し代など、まとまった金額がかかることもあります。
- 引っ越し費用:5〜20万円
- 仮住まい家賃:1ヶ月5〜10万円 × 2〜6ヶ月
- 敷金・礼金など:数万円〜十数万円
📌 家具・家電・カーテンなどの生活立ち上げ費用
新築の家には、新しい家具や家電が必要になることも多いです。
- カーテン類:10〜20万円
- ダイニング・リビング家具:10〜30万円
- 冷蔵庫・洗濯機・テレビ:20〜50万円
- 照明・小物類など:5〜10万円

“建物が完成したら終わり”ではありません。“暮らしを始めるための費用”も見落とさないことが大切です。ここまで含めてこそ、本当の資金計画と言えます!
諸費用を把握したら、次は「総予算全体をどう組むか?」が気になるところ。
実際に予算オーバーを防ぐための具体策は、こちらの記事で詳しく解説しています👇
👉 注文住宅の予算オーバーはこう防ぐ!費用の内訳で見直す5つの賢い選択
まとめ|“見えてないお金”こそ、失敗の原因になる
注文住宅の計画では、「建物の価格」ばかりに目がいきがちですが、実際には“建物以外にかかるお金=諸費用”が、想像以上にかかります。
📌 諸費用の中には──
- 登記やローン契約にかかる費用
- 保険や印紙税などの費用
※引っ越し・家具・家電などの“生活スタート費用”は、厳密には諸費用には含まれませんが、実際の支出として無視できない大きな出費です。
✅ しかも、「いつ、どれくらい必要になるか」がバラバラ。
✅ 見積書に“諸費用一式”とだけ書かれていると、後からトラブルになることも。
だからこそ──
諸費用は「見える化」して、現金で払うものとローンに含められるものをしっかり仕分けしておくこと。
これが、後悔しない家づくりへの第一歩です💡
今日この記事を読んでくださったあなたは、家づくりにしっかり向き合おうとしている、とても大切な一歩を踏み出しています。
これから先の準備も、ひとつずつ整理していけば大丈夫。
安心して家づくりを進められるよう、今ここで備えておきましょう。
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